思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

同期の言葉

東大院卒の会社の同期で、俺と同じような性格の奴がいる。群れることを唾棄しつつも、他者ーーわれわれにとっての他者とは、人と交わることを拒まず、交友に積極的な価値を見いだせるような、つねに理解できない他者のことだーーに対する羨望と侮蔑の感情の挟み撃ちに苦しむ孤独主義と、社会で生きることに強い屈託を感じつつも、これから待ち受ける人生を歯を食いしばるように見つめ続ける姿勢が俺のそれとちょうど似通っていて、人生や互いの性格についてかれと話しあううちに、いつしか両者の間になにかしら共闘の連帯感めいたものが生まれていた。

かれは自身の性格についてこう話す。

 

「こんな性格では社会で生きていけないんじゃないか、いつか詰んでしまうんじゃないかという不安を抱えながら自分は生きてきた。けど、こうして会社に入ることもできたし、なんとかやっていけている。俺はまだ詰んでない、いつかどこかで詰むときが来るかもしれないけど、とにかく今はまだ詰んでいない。まだ行ける、この性格でも俺はまだ行けるんだ、と思いながら生きている」

 

かれがこう話すのを聞いたときは、こんな妙なことを考えながら生きている奴もいるのか、と面白半分でいたのだが、今思い返してみると、これほどポジティブで力強い意気に満ちた思考もめずらしいように感じられる。この姿勢に俺が共感を覚えるのは、意志が避けられぬ運命に容赦なく絡め取られる未来を見据えながら、ただみずからの力のみによって永劫の高貴なる価値を呼びこもうとする、古き良き実存主義の香りを湛えているからだ。