美は、人間の顔がその奥底に湛える美しさというものは、決して古代ローマの彫像のような磨き上げられたような造形の端正さにあるのではなく、むしろ、そこから遠く逸脱することによって強く異化された、顔面の歪みそのものにある。しゃくれた顎、大きな下膨…

新入社員研修が続く。 俺は案の定、新入の同期のあいだで「けっこう変わった、よく分からん面白いやつ」と認識されつつある。社会人としてこの浮世を切り抜けるために、「自分がどういう人間であるか周りから理解されること」がひとつの処方箋であり、訓練と…

引越し代や交通費を含め、半月分の任給が17万だった。はじめは貯金しようとも思ったが、くだらんことだ。ゴールデンウィークはとりあえず山登りに行くか。俺はいますぐ山で死んでも構わん。

空咳が数日続いており、治る気配がまったくない。おそらくアレルギー性の咳喘息ではないかと思うのだが、土曜日に病院に行きそびれた。月曜に欠勤する必要があるかもしれない。 エロ動画を見ていると咳が少しおさまるという現象を発見した。病には器質的なも…

教授から、俺がファースト・オーサーの論文がPhysical Review Bにアクセプトされたという報告を受けた。たとえこの成果に対する俺の貢献が、論文執筆を除けばデータ解析と整理だけであったとしても、これはまさに誇るべきことだ。

待っていてくれる、あの数々の目が見えるたび、ぼくは火傷のような痛さを感じる。すぐさま起き上がってまっしぐらに前方へ走り出したい衝動に駆られる。 サン＝テグジュペリ「人間の土地」のある一ページを俺は開く。折り目のつけてあるそのページを開くとき…

就職して一週間。 ダーウィン「種の起源」下巻を読む。ダーウィンにしたがうと、種間の生存闘争の激しい地域で覇権を勝ち取ってきた種ほど、類似環境の他地域に進出して他種を圧倒する能力をもつ、つまり他の種より「優れた」「高等な」種であると言うことが…

ああ、芸術家になり損なっても人生というまだ見ぬペルシャ絨毯を織り上げる力を知るフィリップ・ケアリよ！ 人間存在をどろどろとした無定形なものに熔解させておぞましい鋳型に溶かし込もうとする社会から、夜の果てへと逃走し続けるバルダミュよ！ 俺の精…

「ホビット 竜に奪われた王国」を観た。 入社式であった。いつの間にか俺は俺の人生に追いつかれていたようだ。俺はオネーギンのように人生の敗残者となったかのような身に染みる感情を味わった。