思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

マイ・ブロークン・マリコについて

「マイ・ブロークン・マリコ」という漫画がなんだか話題になっているので読んでみた。・・・断片的な回顧や台詞からシイノとマリコ共依存的な関係や、シイノという人間の生い立ちがうっすらと垣間見えてくる仕掛けになっている。

マリコ性的虐待を受けた直後ではなく、学生のときでもなく、26歳という年齢で自殺したのは理由がある。それは、天涯孤独であるゆえにマリコを家族同然の親友としていたシイノが、社会人となって新しい世界になじみ、新しい人間関係へと踏み出していく年齢であり、忌まわしい過去に囚われて抜け出ることのできないマリコは、ひそかに迫り来る怖ろしい別離の予感のなか、自身の宣言どおりに自死を選んだのだ。

シイノが帰宅直後に「こうやって日常に戻ってくんだ」と実感したとき、彼女は、自分を社会に深く繋ぎとめて、様々な感情をもたらす無数の網の目を同時に感じたはずだが、しかし、それが読者と共有されることはない。この漫画ではシイノとマリコの関係性以外を描くことをほとんど放棄さえしているので、二人を除く人間関係の拡がりが見て取れず、世界がとても狭苦しく感じられてしまう。