思ったこと、考えたこと。

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NISA投資のデメリットについて

株式投資について備忘録。NISA枠を使った株式投資にはデメリットもあって、それは株式売却にともなう損益を特定口座と通算できないために、年間の譲渡益税徴収額を抑制するテクニックが使えないことだ。これを説明するには、まず株式売却の際に発生する譲渡益税の話から始める必要がある。

例えば、20万円の含み益をもつ株式と、10万円の含み損を抱える別の株式をそれぞれ特定口座で保有しているケースを考える。これらの株式を同一年内にすべて売り払えば、確定された利益は合計で10万円であり、この合計額に対して譲渡益税が課税される。

しかしながら、これは円建てで株式を購入しているケースであって、外国通貨建ての場合はもう少し複雑である。2000ドルの含み益をもつことになる株式を為替が110円/ドルのタイミングにドル建てで購入し、1000ドルの含み損を抱えることになる株式を90円/ドルのタイミングにドル建てで購入したケースを考える。これらの株式を110円/ドルの時期にすべて売却した場合にどうなるか。このとき、譲渡益税の対象となる実現損益は単純に(2000ドル-1000ドル) x 110円/ドル=11万円とはならない。なぜなら、譲渡損益は取得・売却約定日のそれぞれの為替レートを参照して日本円で計算されるからだ。実際は90円/ドルから110円/ドルへ円安が進んだ分、損失分は日本円換算で過大に評価され、合計の実現損益はその分11万円よりずっと少なくなるだろう。これは譲渡益税もそれに比例して低減することを意味する。このように、為替レートを考慮して外国株式の売却時期を適切に選ぶことで、譲渡益税の課税対象となる実現利益を見かけ上抑えることができる。*1

しかし、この手法は複数の株式売却による損益を通算できることを前提としていることに注意してほしい。特定口座とNISA口座では損益を通算できないため、特定口座での売却益はNISA口座での売却損によって埋め合わされることはない。つまり、NISA口座での売却損は税務上なかったものとして扱われ、譲渡益税は特定口座での売却益に対してのみ発生する。非課税優遇を活かすためのNISA枠によって、課税を抑制する機会の損失が逆説的に発生するわけである。

*1:これは違法でもなんでもなく、譲渡益税の算出がそのような仕組みになっているというだけの話である。