思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

タイ出張Ⅰ

社会人2年目、部署に本配属されて1年足らずでの海外出張だった。タイのスワンナプーム空港に到着したのは6月4日の夕方。空港の外に一歩出るとバンコクの熱気がじっとりと感じられる。着替えやタイ人への手土産を詰めこんだ登山用のザックを背負った背が、期待と意気にふるえて汗ばむ。このときの俺は、自分がなにかしらを自力で成し遂げられるとまだ素朴に信じることができていた。その程度にはこれまでの仕事でベストを尽くしてきたつもりだったからだった。

タイ人Nが会社の先輩とともに車で俺を迎えに来てくれた。子会社工場があるのはアユタヤであり、空港からは高速道路を使っても1時間半程度はかかる。滞在するホテルの前で降ろしてもらったあとは、すでに出張していた上司や日本人駐在員の方に日本料理屋に連れて行ってもらう。その後はカラオケに連れて行かれる。

タイのカラオケにはカラオケ嬢というものがいて、何人かいる女性からひとりを選んで一緒にお酒を飲むことができる。お金を出せばホテルに持ち帰ることもできると聞いた。上司らは一番の若手である俺の目を気にしてかなり控えめだったので、これまで風俗の経験がない俺は楽しみ方を知らずに終わってしまった。俺は酒を飲んでもまずいとしか感じられない上に、カラオケもそこまで好きではないので、ちっとも面白くなかった。

翌日からは、タイ人スタッフとともに仕事を始めることになった。総じて平均年齢が若く、女性が半数以上いるためか職場は和気あいあいとしている。しばしば私語を交えて、お菓子を食べながら仕事をしているが、キビキビとしていて動作に無駄がない。スタッフは学部卒が一般的であり、働いて3,4年のものはたいてい日本での研修経験がある。出張先の部署は特に平均年齢が低く、俺と同程度の年齢の者はすでに中堅社員として活躍していた。かれらは英語がかなり上手だ。難しい単語や表現を使わずとも流暢に伝えるべきことを伝える英語力を身につけている。