思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

"Wir sind ein Volk"

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「ボーダーライン」、ピーター・バーグ監督の「キングダム」、ドキュメンタリー「ラッカは静かに虐殺されている」を観た。

 

明日からタイへ一ヶ月の単身出張。試作と評価の計画を遂行できるかたいへん不安である。週末はバンコクのクライミングジムに行くことを考えているので、クライミングシューズとチョークバッグとハーネスを持っていく。ボルダリング用チョークをジップロックに入れて持っていこうとも思ったが、空港の荷物検査でチョークを麻薬と間違えられて、厳重な取り調べを受ける羽目になるのはほぼ確実なのでやめておく。

 

 

備忘録。映画「帰ってきたヒトラー」は、"Wir sind das Volk"「我々が国民だ」というシュプレヒコールが繰り返される中で幕を閉じるが、初めに映画を観たときは彼らが何を訴えているのかわからなかった。調べたところ、このスローガンはもともと、1989年に当時の東ドイツライプツィヒでおこなわれた、民主化を求める月曜デモで使用されたものらしい。社会主義体制を批判するこの大衆運動のスローガンは、その後、東西ドイツ統一を求める"Wir sind ein Volk"「我々はひとつの国民だ」という合言葉へと受け継がれ、そしてベルリンの壁は崩壊した。俺が生まれる前年のことだ。

それから25年以上経った今日では、"Wir sind das Volk"は"PEGIDA"、すなわち「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」団体を象徴する言葉となっている。かれらはスローガンを現代に蘇らせることで、自分たちがドイツの伝統の正当な後継者であること、また、主張の歴史的な正当性を強調しているのである。そして、"Wir sind das Volk"「我々が国民だ」の背後にあって隠れてはいるけれども、そのあとに続くべき言葉、"Wir sind ein Volk"「我々はひとつの国民だ」を強く想起させることにより、民族主義、および移民・イスラム排斥という右派的価値観を愛国心と結びつけるかたちで、大衆ーーあるいはシュプレヒコールをする当の支持者自身ーーに対して心情的に訴えかけるのだ。

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