ここに告白しておくが、先週に一ノ倉沢南稜フランケルートを登らなかったのは、今の実力では無事に終了点まで到達する自信はなかったので、おそれをなして取り付くことなく帰ってきたのだ。南稜フランケはルートファインディングが難しく、途中の支点が少ないために墜落が許されない。このため、核心部でルートファインディングミスをした場合、前進も後退もできずに立ち往生するリスクが高い。変形チムニー登攀は南稜フランケに挑戦するための試金石となるべきものだったが、俺は変形チムニー最終ピッチでルートファインディングミスをして、行動時間が余計に2時間増えたのだ。残置支点が少ないピッチにおいて、終了点の烏帽子岩が目前に見えていたにも関わらず、このようなミスをやらかしたことは俺にとってショックで、南稜フランケに取り付く正当な実力が自分にはともなっていないように感じた。
変形チムニーを登攀した翌日早朝の一ノ倉沢はガスに覆われ、上部は小雨か、そうでなくても時間が経過するにつれて天候は悪化すると思われた。これを体のいい言い訳にして俺は一ノ倉沢出合からすごすごと引き上げたのだ。
2024/1/5
なぜかこのページのアクセス数が多いので、2023年5月に南稜フランケを登った記事のリンクを貼っておく。
