米国株式の全面的な急落にともなって、含み損がとんでもなく膨れ上がっている。この1ヶ月間でボーナス1年半分がふっとんだ。コロナのアメリカへの影響を軽く見積もっていて、2月に安易にナンピンを繰り返したのは少しまずかったと思う。とはいえ、まだまだ追加投資する余力はあるし、給与を貯金して余力を蓄えることも容易だ。保有している株式のうち、配当率が高いETFや個別株の割合がかなり高いので、このままずっと放置して配当金再投資に回すこともできる。
量子理論の専門家であるJ. Wheeler が1978年に発表したDelayed-choice thought experimentは、物理量が測定行為と不可分に結びついていることを示す思考実験のひとつであり、2015年に実証された*1。これは、単一のHe原子がある経路をたどったあとに、粒子として測定するか波として測定するかを決める測定系を構築するという実験である。原子を干渉させない測定系では粒子として測定されるが、干渉させる測定系では波として測定される。原子が粒子であるか波であるかを時間をさかのぼって測定系が決定するのではない。測定されるそのときまで粒子か波か確定できないというこの事実は、量子現象がそのどちらか片方であって事後的に決まるということを意味しないし、単に技術的に確定づけることができないという解釈も正しくない。J. Wheeler に言わせるなら、量子現象とは粒子と波、本質的にそのいずれでもない*2。
量子干渉実験や量子もつれに関する理論・実験において、物理量が測定行為と不可分に結びついているのと同じように、株式投資においても、損益を確定させる行為によって初めて実体的で効用に直結した価値が決定すると俺は考えている*3。このとき、含み益や含み損は量子や幽霊のような未確定のもので、利益であるか損失であるかは、決済するそのときまで決められないのだ。