思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

ウォートンの「エイジ・オブ・イノセンス」をおそるおそる読み始める。以前に数ページ読みかけたところで、あまりに難儀な文章に面食らって早々に投げ出したのだったが、いつまでも逃げ回るわけにも行かない。

ウォートンは、虚栄心のわずかなおののき、その徴候のひとつさえも見逃さず、心理をえぐり出し徹底的に解剖するに値する病理を見てとる。ニューヨーク上流階級のあるひとりの男の状況と心理を描出する観察力は、監察医のそれのように研ぎ澄まされており、彫琢された分析的文章は、そのひとつひとつがフランスのモラリストを思わせる箴言の域にまで達している。その高度な論理ゆえに、正直いって、ほとんど理解がおよばない心理描写もあり、圧倒される思いだ。いくぶん韜晦な論理を好む、ジャン・ジュネのような小説のほうがまだしも馴染みやすい。「エイジ・オブ・イノセンス」は手強い・・・