思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

ジャック・ロンドンどん底の人びと」を読んだ。この告発的なルポルタージュは、作家を志す若きジョージ・オーウェルに影響を与え、本書が1903年に出版されてから30年後に「パリ・ロンドン放浪記」を執筆させることになる。

私はどちらかというと「パリ・ロンドン放浪記」のほうが好みだ。「どん底の人びと」に描かれているイースト・エンドの生活風景は、あまりに悲惨で救いがなく、だんだん暗澹たる気持ちにさせられる。それに比べると、オーウェルが働いていたパリにあるレストランの地下キッチンは、同じく窮屈な貧しさと忙しない労働に取り囲まれてはいるものの、喧騒と色彩と言いようのない熱気に満ちみちており、私たちを奇妙な羨望に誘ってくれる。

 

ジーン・リース「サルガッソーの広い海」と、ミシェル・トゥルニエ「フライデーあるいは太平洋の冥界」が気になっている。難しいだろうが、きっと深い感化を与えうる小説にちがいない