旭岳からトムラウシ山、十勝岳を経て富良野岳まで縦走してきた。当初は3泊4日で15日に下山する予定だったが、帰りの航空便を17日に予約しており、別に急ぐ必要もなかったので、3日目の行程を2日に分けて4泊5日とした。
ほぼ同じ日程・コースで縦走をしている単独の女性登山者2名とは、すれ違ったりキャンプ地・小屋で宿泊する際にいろいろお話する機会があった。初めての北海道の山でヒグマに遭遇する不安に押しつぶされそうになりながらも、悪天のなか山行を続けることができたのは、彼女たちが自分と同じ登山道を歩いていると思うことで勇気が与えられたからにちがいない。
正直言うと、俺はこの縦走をするまで、旭岳から十勝岳まで縦走するような変人は多くても年間10人かそこらだろうと、秘かに悦に入っていたのだ。ところが、俺と同じように単独でこのような縦走をする女性や、行き交う長期縦走の登山者に出会って、いかに自分が自惚れていたかを思い知らされた。彼女たちの山登りへの熱情と、一日12時間以上行動する根性(俺には無理だ)を目の当たりにして、さらに壮絶な山登りを目指してみたいと素直に思うようになった。彼女たちには感謝している。ありがとう。
この旅ではオスカー・ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」、「トルストイ民話集」、そしてジョージ・オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」を読んだ。