思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

製造ばらつきの何が問題なのか

製造ばらつきの問題は、良品の歩留まりを下げる直接的な不良要因を分析してもなかなか可視化されない。仕様規格外となる不良が、最終検査工程でようやく判明するケースを考えてみよう。このとき、各中間工程の製造データをそれぞれ単独で評価しても、たいていは、規格のもとで適切に管理された、外れ値のない美しい統計分布が無数に得られるだけで終わる。しかもしばしば、良品と不良品の統計分布は互いに重なり合っており、それが技術者を混乱に陥れるわけである。

たとえ見かけ上の不良モードが単一であっても、製造異常による管理値からの単なる逸脱によって不良を説明できないとき、いくつかの工程での複数のばらつきが積み重なっている可能性を検討すべきだ。ひとつひとつの工程での管理値がそれ単体では完成品の歩留まりへ影響していないようにみえても、各工程におけるばらつきがただひとつの品質項目に対して結託して負荷をかけている可能性は十分にある。言い換えると、ばらつきの総和がある閾値を超えたときに最終検査工程で初めて仕様規格外になって不良となるのだが、各中間工程は許容されたばらつきのもとで製造品を正しく製造しているとしか言いようがないのである。盲点は、「許容されたばらつき」というものが、工程の実力値や初期管理値といった、品質とはまったく無関係の統計分布に基づいて取り決められていることにある。歩留まりを確保するには、本来そのばらつきは許容されてはならないほど過大だったのだ。

 これは、統計学でいう分散の加法性が製造現場でいかに見落とされやすいかを示している。分散の加法性について復習してみる。たとえば、2つの中間工程での特性値がいずれも標準偏差σの正規分布にしたがうと仮定すると、工程規格が製造実績平均の±3σ以内であるとき、工程歩留まりはいずれも99.7%である。しかし先の議論を当てはめると、最終検査工程では特性値のばらつきが積み上げられて、その標準偏差は1.41σになる。これは、平均値±3σ以内という規格に対して、96.6%しか歩留まりを確保できないことを意味している。最終検査工程での歩留まりを99.7%まで上げるには、中間工程における特性値分布の標準偏差を0.7倍以下にしないといけないことが計算からわかる。