思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

レメディオス・バロ

トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」を読んだ。映画「人生スイッチ」を観た。

「競売ナンバー49の叫び」がきっかけでシュルレアリスム画家レメディオス・バロに興味をもつようになった。彼女の作品のひとつ「 出会い」をネットで見つけたが、こんな悲しい気持ちになる絵画は初めて見た。だが、それ以上に、「大地のマントを刺繍する」において塔に囚われていた乙女が、恋人とともにボートに乗って逃げ出していく場面を描いた、三部作の第三作「逃亡」は魅力的だ。塔に幽閉されていたときは生気のない顔でうつむいてタペストリーを刺繍していた彼女が、「逃亡」では顔を上げて緊張と高揚に満ちた表情をのぞかせている。滝のような怒涛の奔流が彼らの行く手を阻んでいるが、二人の目に恐れは見えず、操舵棒をにぎりしめる彼女の右手は、恋人とともにいる限り怖いものは何もないとでも言うかのように勇気に満ちあふれている。その劇的な美しさによって彼女は俺をこの上なく惹き寄せる。

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