思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

いろいろ

「きっと、うまくいく」「グラディエーター」を観た。マキシマスという北方軍の将がアウレリウス帝の後継を巡ってコンモドゥスと争うなんて史実あったっけ、と思いWikipediaを調べるが、マキシマスの存在自体を含め完全なる創作であると判明。ふざけんな。

なお、マルクス・アウレリウスの嫡男コンモドゥスが剣術にしか興味を見せない凶猛な性格をもち、剣闘士としての膂力をコロッセウムで大衆を前にしばしば見せつけたというのは事実である。「ローマ帝国衰亡史」を著述したギボンは、晩年のアウレリウス帝は齢を重ねるにつれ頑迷さを増し、子を想う情に引きずられてコンモドゥスを後継に選んだと述べている。「グラディエーター」がアウレリウス帝を美化してコンモドゥスをさも卑劣な簒奪者であるかのように描くのは、「ブレイブハート」と同様に、創作の都合上のロマンチシズムにすぎない。

 

「サムエル記」を読んだ。

アブサロムは古代イスラエルの名君ダビデの息子であり、イスラエルの民心をひそかに掌握して父王ダビデに反旗を翻すものの、王権を懸けた戦に敗れて討ち取られる。

アブサロムが父を裏切る遠因となったのは、アヒノアムがダビデに生んだ息子アムノンと、マーカがダビデに生んだ娘タマルの近親相姦にある。タマルの実兄アブサロムは、アムノンが無理強いに妹を辱めたことに非常に憤慨し、その二年後、かれは祭りの宴会の席でアムノンを暗殺するにいたる。このことが、アムノンへの愛ゆえにかれを罰することができなかった王ダビデとその息子アブサロムの確執を生むことになる。

フォークナーの小説「アブサロム、アブサロム!」の悲劇と比較すれば、その人物の対応は明瞭である。「アブサロム、アブサロム!」では、ミシシッピ大学の学生チャールズ・ボンと、ヨクナパトーファの大領主トマス・サトペンの娘ジュディスが交際し、二人の仲は婚約を想定し、それをトマスやヘンリーに伝えるまでにいたる。しかし、実はチャールズ・ボンはトマス・サトペンの前妻の息子であり、近親婚を阻止しようとするジュディスの兄ヘンリー・サトペンによってボンは銃殺される。ここで、旧約聖書におけるアブサロムはヘンリー・サトペンに、アムノンはチャールズ・ボン、タマルはジュディスに対応していることが分かるが、舞台を南北戦争時代の南部アメリカに移し替えるに際して、フォークナーが複雑なひねりを加えていることは当然である。

 

こんなに映画を観てはくだらん文章をしこしこ書いていることからも分かるように、俺は暇人なんである。