研究室の同期のひとりが就職した東芝のメモリ事業部門は、いまは紆余曲折あってキオクシアとなっているし、山岳会の知人は日産車体に就職して平塚に配属されたものの、湘南工場は閉鎖される方向にあるという。俺の会社の事業部門も、主力製品の世代交代に失敗してからは赤字がずっと続いているわけで、今後どうなるかわかったものではない。
小川山でフリークライミング(アルパイン少女マミ 5.12a, ノー・モア・レイン 5.12aなど)
この連休は北陸方面の天気が悪いので、剱尾根のアルパインクライミングは中止にして、5月3-5日に小川山でフリークライミングをしてきた。そのときの成果は以下の通り。新しいフルカラー版のトポだと一部のルートでグレードが見直されているようで、例えばノー・モア・レインは5.12bだし、ナツコのナッツは5.11cになっている。しかしここでは手元にあるトポの記載にしたがっておこうと思う。
【妹岩】
ノー・モア・レイン (5.12a)=3便目でレッドポイント。計4トライ
【マラ岩】
届け手の平 (5.10d)=2便目でレッドポイント。計4トライくらい
スキゾフレ二ー (5.11c)=3便目でレッドポイント
ブルースパワー (5.11c)=3便目でレッドポイント
ロッキーロード (5.12a)=出だしからムーブがさっぱりわからない。あえなく途中敗退
帰ってきた開拓王 (5.11c)=2便目でレッドポイント
ガンコおやじ (5.11c/d)=難しすぎて、フリーどころかクイックドローを掴んでもまともに登れなかった。右のライン(オレンジロード)へ回り込んで、なんとかトップアウトして回収した。
【兄岩】
ナツコのナッツ (5.11a)=3便目でレッドポイント
アルパイン少女マミ (5.12a)=3便目でレッドポイント。計4トライ。1年前に初めてトライしたときはトップアウトすらできずに途中敗退していたので、その雪辱を果たせてよかった。
アルパインアイスルートのグレーディングをしてみる(※主観)
この2年間で甲斐駒ヶ岳周辺を中心に甲信の代表的なアルパインアイスルートをいくつか登ってきたが、ガイドやトポに書いてある総合グレードはあまり参考にならないように感じた。そこで、主観的ではあるが総合グレードを以下のように再整理してみた。ここではシングルピッチで登られる氷瀑は除くとして、アルパインクライミングやマルチピッチで登る氷瀑を対象にしている。それと、国内有数と言われるほどのあまりに難度の高いルートの登攀経験はないため、結果としてグレーディングがやや甘めになりがちなのはご容赦願いたい。
グレーディングの基準としては、まず①氷瀑自体の技術的難度、②氷瀑全体のスケールという2点が大きな要素を占める。氷瀑の傾斜が強くヴァーティカルに近かったり、ピッチを分けないと登れないほど氷瀑が大きければ難度は上がるだろう。一例として、塩沢右俣は技術的難度を考えると塩沢左俣よりも上になる。大武川 一ノ沢大滝の難度はそこまでではないが、ピッチ数を考えると篠沢七丈瀑よりも上のグレードになるはずだ。同様の理由で、滑滝沢と西坊主ノ沢は登攀スケールという点で黄蓮谷右俣や左俣よりも上になるだろう。グレードを決めるための補足的な要素として、③アプローチの負荷、④敗退の容易さも入る。これらの観点は、尾白川下流域の各氷瀑のグレードを下げ、黄蓮谷や尾白川本谷の各ルートのグレードを上げる要因となる。三峰川岳沢は全装をかついで大仙丈ヶ岳頂上まで突き上げなければいけないという点でかなり特殊で、それはこのルートを大幅に難しくしていると言ってよい。最後に⑤支点設置・ビレイの安定性という要素もわずかだがグレーディングに関わっている。支点の不確実性やビレイ時の安定性は登攀の困難度に直結するものだからだ。この点で野門沢 布引の滝は大武川 一ノ沢大滝よりも上であり、七丈ノ滝は夢のブライダルベールよりも上であると考える。
もちろん同じグレードの範疇内でも難易の差はあるわけで、以下のリストでは下にいくほど難しいことを表している。たとえば同じ【3級上】でも、尾白川下流域 岩間ルンゼよりも足尾渓谷 ウメコバ沢の方が総合的にやや難しいといえる。
【2級】
八ヶ岳 裏同心ルンゼ
【2級上】
八ヶ岳 ジョウゴ沢
【3級下】
尾白川下流域 ガンガノ沢
【3級】
八ヶ岳 峰ノ松目沢
尾白川下流域 平田ルンゼ
荒川出合3ルンゼ 右のナメ滝
【3級上】
尾白川下流域 岩間ルンゼ
八ヶ岳 広河原沢左俣
八ヶ岳 権現沢左俣
八ヶ岳 南沢大滝
二口渓谷 日陰磐司 左ルート
荒川出合2ルンゼ 正面大滝
足尾渓谷 ウメコバ沢
【4級下】
荒船山 相沢奥壁 エイプリルフールの滝
中千丈沢 Z
中千丈沢 一角獣
戸台川 舞姫の滝
大武川 篠沢七丈瀑
【4級】
錫杖岳前衛壁 3ルンゼ
谷川岳 一ノ倉沢 一ノ沢右壁左方ルンゼ
八ヶ岳 大同心大滝
尾勝谷 塩沢左俣
大武川 一ノ沢大滝
黄蓮谷右俣
二口渓谷 日陰磐司 右ルート
錫杖岳北東壁 グラスホッパー左ライン
黄蓮谷左俣
【4級上】
滑川 奥三ノ沢左俣
荒船山 昇天の氷柱
尾白川本谷 西坊主ノ沢
尾白川本谷 滑滝沢
女峰山北面 野門沢 布引の滝
尾勝谷 塩沢右俣
米子不動 アナコンダ
【5級下】
三峰川 岳沢
荒川出合3ルンゼ 夢のブライダルベール
【5級】
戸台川 七丈ノ滝
錫杖岳前衛壁 1ルンゼ
米子不動 夜叉
御前岩のDr.メイジ(8a)を完登した
4月19日にボルダリングジムの常連仲間と御前岩へフリークライミングしにいった。そのときの成果は以下の通り。
ムーブマニア (7b)=レッドポイント。通算8便くらいか
Regime du Docteur Meiji (Dr.メイジ) (8a)=レッドポイント。通算12便くらいか
今年の目標だったDr.メイジを完登し、レッドポイントの最高グレードを8aに更新できた。フレンチグレードの8aは5.13bに相当するらしい。高グレードのルートをそれほど登っているわけではないので、このグレード換算が妥当なのか正直よくわからない。しかしDr.メイジはアスリーツボディ(7c+)よりも完登が難しく感じられたし、実際により多くのトライ数を要したので、まあ5.13aはあるだろうということで納得している。
ムーブを完全に頭に叩き込んで自動化していたからか、完登時は前腕にわりと余裕があった。このフィジカルであれば、頑張れば8a+くらいまでは行けるかもしれない。

鹿島槍ヶ岳 ダイレクト尾根
3月末に鹿島槍ヶ岳北壁へ行く計画だったのだが、パートナーが二人とも行けないと返事を寄こしてきて悲惨な有給消化となっていた。12月中旬から狂ったように毎週怒涛のアイスクライミングをしていたものだから、おそらくかれらは一種の燃え尽き症候群に罹っていたと思われる。だがアルパインクライマーとしては、冬の錫杖、冬の谷川と並び、1年に1回は雪の鹿島槍ヶ岳に登っておきたいものだ。
そんなわけで、好天の日を狙って4月12日に日帰りで鹿島槍ヶ岳 ダイレクト尾根を登ってきた。木曜日の仕事終わりにボルダリングジムへ寄ったあとは眠気で死にそうになりながら長野へ車で向かい、金曜日は長野市内のネットカフェでテレワーク、仕事終わりに大谷原まで運転して駐車場で仮眠、土曜日夜2時に登山口を出発というわけのわからないスケジュールだった。だが、こうでもしなければ睡眠時間を確保できないのだから仕方がない。雪が締まっているあいだに標高を稼げたおかげで、午前9時に鹿島槍ヶ岳南峰の頂上に立つことができた。







