思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

12月24日夕方~未明に、奥多摩の御岳にあるボルダー「忍者岩」が人為的にチッピングがされたという。これによって、日本のボルダリンググレードの1級基準「忍者返し」を始めとして、忍者岩にある古典的な高難易度の課題の多くが変わってしまったとネット上で報告されている。

いつか忍者返しを登れるようになることに憧れていたというのに、こんな残念なことはない。

マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙-サイレンス-」と「エイジ・オブ・イノセンス」を観た。遠藤周作の同名の原作を読んでいなかったことが悔やまれる。

エイジ・オブ・イノセンス」は、オレンスカ伯爵夫人が黒髪でなく金髪であることを除けば、ほぼ完璧に原作通りだが、映像化によってアーチャーの内的独白が失われるにともない、メイの存在感がやや小さくなっているように見える。

 

ボルダリングについて。ちょくちょく2級課題をトライしてみることをくり返しているが、やはりまだ難しい。平日夜にジムでよく会う3級クライマーの常連たちとは実力が拮抗していると思うが、かれらのスタミナは俺をはるかに上回っている。なぜあんなにぶっ続けで本気を出せるんだろうか。

ウォートンの「エイジ・オブ・イノセンス」をおそるおそる読み始める。以前に数ページ読みかけたところで、あまりに難儀な文章に面食らって早々に投げ出したのだったが、いつまでも逃げ回るわけにも行かない。

ウォートンは、虚栄心のわずかなおののき、その徴候のひとつさえも見逃さず、心理をえぐり出し徹底的に解剖するに値する病理を見てとる。ニューヨーク上流階級のあるひとりの男の状況と心理を描出する観察力は、監察医のそれのように研ぎ澄まされており、彫琢された分析的文章は、そのひとつひとつがフランスのモラリストを思わせる箴言の域にまで達している。その高度な論理ゆえに、正直いって、ほとんど理解がおよばない心理描写もあり、圧倒される思いだ。いくぶん韜晦な論理を好む、ジャン・ジュネのような小説のほうがまだしも馴染みやすい。「エイジ・オブ・イノセンス」は手強い・・・

アマルティア・セン「貧困と飢饉」を読んだ。本書で展開されている、飢饉の原因分析における権原アプローチは、開発経済学の新たな地平を切り開く端緒となったという。ある社会における貧困をどのように指標として表すか、食料供給量が不足していなくとも飢饉は起こりうるか、そのメカニズムはどのようなものか、そして市場原理によって貧困が解決できないのはなぜか、といった疑問に対して明晰な分析がなされており、たいへん興味深い。