思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

久しぶりにホームのクライミングジムへ行ってマンスリー課題に挑戦したら、予想以上に多くを完登できた。強くなってんじゃん俺。

 

マリリン・ロビンソン「ハウスキーピング」を読んだ。解釈が難しい心象風景がいくつも描かれる。読後の余韻は、触れるだけで崩れてしまうかのような澄明さをたたえる霜柱のように名状しがたく美しい。鏡面の湖に投げ出された影、明るい照明があふれる室内と暗闇の屋外を分け隔てて鏡となる窓ガラス――境界をなすこうした半透明の膜に仮託されたアレゴリーについては、時間をおいてゆっくり考えてみなければいけない。おそらくそれは、失われた愛する家族を追憶するとき、残された家族の面影を透かし見ておぼろげに思い出そうとするその思い出し方であり、記憶のかなたへと後退してしまって、もう取り戻すことができない往時のつながりであり、追憶のたびごとに耐えねばならない喪失にぶつかる彼女たちの悲しみそのものなのだ。

この一ヶ月で12冊ほど小説(それらのすべてが、それぞれ独自に際立った耀きを放つ古典と呼べるものだ)を読んだが、その中でもっとも難解で、かついわく言い難いイメージを心に刻みつける。

 

「ハウスキーピング」は1987年に映画化されているが(邦題は「シルビーの帰郷」)、映像化によって語り手の語る比喩の豊かさや想像の曖昧さが失われることを恐れる。