思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

イーヴリン・ウォー「スクープ」を読んだ。「回想のブライズヘッド」と同じ作者とは思えないユーモアに溢れている・・・。

 

大学一年のときにヘンリー・ミラー「北回帰線」を大学生協で購入したはいいものの、あまりの難渋さに当時は読むのを諦めていた。それ以来10年間、未読の蔵書としてずっと所持しており、久方ぶりにページを開いてみるが、やはり手に負えない。物語の筋や登場人物たちの造型が一向に見えないので、この小説らしき断片的な文章の集合体からほとばしり出る象徴表現や比喩の価値をすくい取る自信がまったく湧いてこないのだ。物語を語ろうとする試みがこれほどまでに放擲されて、混沌の奔流に投げ出されている作品は類をみない。リルケジャン・ジュネですら読者に対して良心的に思える。