思ったこと、考えたこと。

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信用取引では資産の下方硬直性が働く

株式の現物取引と比較したとき、保証金を担保にした信用取引は、長期でみたときに資産を毀損するリスクは段違いに大きくなる。

信用取引では、保証金残高のうち含み損の占める割合が証券会社や取引業者の定める基準未満になったとき、基準を満たすために、定められた期限内に追加で入金して保証金を積み増さなければならない(追証と呼ぶ)。もし期限を過ぎたり現金を準備できなければ、信用買いしている株式(建玉と呼ぶ)は強制的に決済されてしまう。

追証信用取引をおこなう上で避けられないリスクではある。しかし、追証解消の期限がたいてい追証発生日の翌営業日~翌々営業日であることは、追証そのものよりはるかに信用取引のリスクを大きくしている。なぜなら、株価や為替相場が絶えず変動するものである以上、ごく短期間のうちに強制決済によって資産を大きく失う可能性は、建玉保有している限り絶えずつきまとうからだ。買い建玉の場合で言うと、信用取引者は株価の下落に対してつねに脆弱であり、急落に対してたった一度でも見過ごすことはすぐさま損失の確定に直結し得る。にもかかわらず、株価の急騰によって莫大な含み益を一時的に得たとしても、決済しない限りその利益が実現されることはなく、高値で利益確定できる保証もない。つまり、下げ幅は信用取引者に対してつねに敵対するが、上げ幅が信用取引者の味方を請け合うことはない。株価変動、すなわちボラティリティをめぐるこの非対称性が、信用取引者の状況を著しく不利にしている。

言い換えると、現物取引とは異なり、信用取引では許容できるボラティリティが現実的には限られているということだ。これによって、たとえ株価が長期的には上がっていくとしても、短期的な騰落率に対して資産は中立ではなく、ある種の下方硬直性が働くことになる。