思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

アベル・ボナール「友情論」を読んだ。

 

ドゥ・ザ・ライト・シング」を観た。この映画は1992年のロサンゼルス暴動を彷彿とさせるが、映画が公開されたのは1989年である。アメリ市民社会のうねりと矛盾を厳しく問う作品だが、ブルックリンの猥雑とした雰囲気を伝える罵倒の応酬がたいへん愉快で、決して深刻ぶった悲愴な社会派映画というわけではない。

 

アメリカの映画では、しばしば新旧の移民・階級間の対立が主題となる。「ドゥ・ザ・ライト・シング」もその例外ではなく、ここではブルックリンにおける黒人とイタリア系・韓国系移民の対立が描かれている。黒人問題を取り上げたものでは、「アラバマ物語」「招かれざる客」「夜の大捜査線」といった古典的名作が浮かぶ。それ以外にも、「ウエストサイド物語」ではロサンゼルスにおけるポーランド系移民とプエルトリコ系移民、「欲望という名の電車」ではニューオーリンズにおけるポーランド系移民と南部の旧地主階級、「グレート・ギャツビー」「陽のあたる場所」では上流階級と中西部の貧民の対立が裏側にある。少し趣向がちがうが、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「ゴッドファーザー」もまた、移民同士の軋轢や対立という背景があって舞台が成立する映画である。