思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

タイ人の断絶

SolidWorksの静解析を急ぎでしてほしいといきなり課長に依頼されて、てんてこ舞いである。

 

タイ工場のスタッフはみんなスマホをもっているし、20代で車を所有しているものもいる。タイ人Nがlineで部屋の画像を送ってくることがあるが、彼女の部屋にはおそろしくでかい液晶ディスプレイがあった。また、日本ではそこそこ値段のする小さなかわいらしいフィギュアが棚にたくさん飾られていた。かれらの生活ぶりを推測する限り、日本の同年代の若者と生活水準はさほど変わらないように思える。彼女たちは工業化著しい新興国におけるホワイトカラーであり、典型的な新中間層である。ところが、ひとたび夜の街に目を向けると、そこには売春のために店先でたむろっている若い女性が大勢いる。タイに出張したとき、カラオケ店で彼女らのひとりと話したのだった。幼いころに両親が離婚して、いまは母親を養うために風俗ではたらいているとのことだった。彼女たちは風俗店での賃金だけでは暮らしていけないので、タイでは本来違法でありながら慣習的となっている、個人契約というかたちでの売春をして日銭を稼ごうとしているのだ。

タイ人は家族を養うことを当然積むべき善行と考える傾向が強いため、職業選択の自由はこの道徳観を前にある程度犠牲にされている可能性はある。にも関わらず、アユタヤというひとつの街をのぞくだけでもうかがえる、タイの人びとの暮らしぶりのこうした断絶はなかなか理解しがたい。