思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

ドニー・ダーコ」を観た。これほど奇妙で得体の知れない映画を観たのは久しぶりだ。全容がまったくうかがい知れず、配置される要素の数々が互いにいがみ合うように競合し、意味がおそろしい軋みを起こして、観るものを残らず惑乱の渦に陥れる映画はいくつか知っている。たとえば、「アメリカン・ビューティー」「2001年宇宙の旅」「ミツバチのささやき」「未来世紀ブラジル」「ビッグ・リボウスキ」などがそうだった。これらの映画はいわばクリシェからもっとも隔たった場所に固有の表現の領土を見出そうとしており、それゆえに解釈されることを拒む、ときとして苛立ちにも似た身振りに満ちみちている。

ドニー・ダーコ」が要素間の不和と軋轢のただなかにのみ、その立ち位置が見いだされるような映画だと言いたいわけではない。しかし、この映画が描く、思春期特有の不安感、外見だけ取り繕われた存在のおぼろげなさは、映画を観て物語を読み解こうとする者が引きずりこまれる混乱と当惑の印象そのものと重なり合うことで、きわめて複雑な効果を生み出しているにはちがいない。