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思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

救援隊にしておくれ

俺は、たとえ自分が複数の他者から受け入れられているときでさえも、むしろ受け入れられているときにこそ、かれらの優しい視線から背を向けて、一目散に逃げ出したくなるような無限大の悲痛を味わう。

だが、こんな俺でさえもタイ人のKといるときは別だった。彼女に対してだけは、人のために尽くそうという思いが素直に芽生えてくるのだった。そして、俺がこんなにも心から人に親切にしたのは生まれて初めてとさえ言えるものだ。

江ノ島の海岸で彼女と隣り合って座っているときは、彼女がもうすぐ帰国してしまうことを思って胸が張りさけそうな気持ちになるとともに、それがかえって彼女が隣にいる時間を余計に甘美的なものにさせるのだった。

犬夜叉とクマのキャラクターが好きで、チョコレートとつけ麺に目がなく、冗談をよくいう彼女はすでにタイへ帰ってしまった。タイへ行くことがあったら観光案内をしてあげると彼女は約束してくれたが、俺が向こうで彼女に会ったとしても、別れのつらい思いをくり返すだけだろう。彼女が俺のことをどう思っているのかは分からない。いまさら確かめようとしたところで、苦しみは増すばかりで何になるのだろう。

だから、俺はこの悶えるような胸の苦しみを取り払うために、ふたたび山へ向かうだろう。俺は、こうして世俗のあらゆる価値観と人間関係をまるごと唾棄するかのように払いのける他に、思考を女性のことから解き放つ術を知らないのだ。

テグジュペリよ、どうか俺をおそろしい重力の魔法から救い出しておくれ。針のむしろに寝転がるような、他者と関わることの苦しみのもとから上空へとすくい上げて、俺が自分の足でふたたび痛みのもとへと帰り着くだけの寛大さを与えておくれ。誰が帰還を待ち望んでいるわけでもないこの俺を救援隊に、自由へのすがすがしい愛情とともに他者のもとへ駆けつけることのできる救援隊にしておくれ!