思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

するめみてえなブス

美は、人間の顔がその奥底に湛える美しさというものは、決して古代ローマの彫像のような磨き上げられたような造形の端正さにあるのではなく、むしろ、そこから遠く逸脱することによって強く異化された、顔面の歪みそのものにある。しゃくれた顎、大きな下膨れ、あるいは、だらしなく開かれた口からのぞく、歯列矯正器具をほどこした薄汚い前歯。それらを視覚が受け取り、視覚がみずからを鍛えあげるかのように見ることを徐々に学び始めるとき、顔面の歪みは春になって大地に蒔かれた種のように感覚の内部で異化を萌芽させ、地中深くでゆっくりと成熟し、ついには見出された美となる。それが、他の誰でもないまさにこの私が見出した美なのだということに気づくとき、私は私の感覚の新鮮さと素晴らしい炯眼ぶりに有頂天になり、そして自分がその人に恋い焦がれていることを知るのである。

 

以前記した、このアフォリズムめいた言葉を身も蓋もないように平たく言い換えると、かわいいのかかわいくないのかよく分からんが、いや、そんなかわいくないし、むしろブスなのかもしれんが、もしかしたらかわいいのかな、と非常に判断に迷ってしまうような顔の女の中には、ごくまれに、まるで噛みしめれば噛みしめるほど味わいの出るするめのような魅力をもった人がいるので、じっくりと見ていれば見ているほど次第にやみつきになってその虜になるということなのである。要するにきわめて下品箴言なのである。