足を痛めたために、山行2日目で切り上げて途中下山せざるを得なかった。北岳と間ノ岳には登頂したが、仙塩尾根を歩いて仙丈ヶ岳へ向かう途中でつま先の痛みに我慢できなくなり、両俣小屋経由でエスケープした。したがって仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳には登ることができなかった。
新調した登山靴をぶっつけ本番で使ったため、まだ靴に慣れていなかったせいかもしれないし、爪が伸びていたせいかもしれない。しかし、おそらく原因は他のところにある。これまで使っていた登山靴と比較して、アルパイン・クルーザーは足首がふにゃふにゃで柔らかいため、登山道の登り降りで足首への加重を支えることができず、爪先に体重がかかってしまうのだ。
とはいえ、登山靴選びに失敗したと嘆くにはまだ山行日数が少なすぎる。もっと歩いて痛みを軽減する方法や歩き方について考える必要があると思う。いずれにしても、お盆にはこの靴で北アルプスを縦走しなければならないのだ。
これしきの縦走で痛みに耐えることができずに下山する自分が情けないし、この上なく惨めにも思う。先日「俺なら行ける」と行った手前、自分の非力に恥じ入りたい気持ちでいっぱいだ。だが、この敗退は幾多の越えねばならぬ敗退のひとつにすぎず、俺の山登りがこれで終わるわけでもない。
山の中ではカミュの戯曲「カリギュラ」と「誤解」を読む。俺は情熱が、この人生を生きるまでもないものにしてしまうほどの徒労への情熱というものが欲しいのだ。それさえあれば他には何もいらない!