順調に進んでいる就活というものがあるとして、俺が投げこまれている状況はそのようなものとは思えないのだが、自分から困難に飛びこみ、それが困難であることを知ったからといって落ちこむほど俺は無知ではない。
ただ、この困難のさなかにあって俺が思い知ったのは、企業は間違いなく筆生バートルビーの存在を毛嫌いするであろうということである。人格や内面は、自然主義の風景画のように澄明でみずみずしくなければならず、手にすくい取れるように実在をともなっていればなお良い、ということらしい。ロマン派と印象派は次点だが可、というところだろうか。その一方キュビスムとシュルレアリスムはここでは排除の対象にしかならず、象形文字的な振る舞いはもってのほかである。
だから俺は自分自身に対してこう進言してみたいと思う。面接においてはコローの描く森や湖のごとくあれ、と。