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思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

精神的な父親であったカミュは、かたくな思いこみ――成層圏の高みにあって大気の希薄にあえぎながらも、その苦しみが、生物の生存を許さない環境の苛酷さにではなく、肉体の順応と苦しみへの眼差しのいたらなさによるものだという思いこみのことだが――を私に伝授し、それによって、肉体をひとつの高貴な気体へと昇華し、さらなる上空へと昇りつめることで、そこに君臨する王国をついに体内に浸透させることができるという信念のなかにあって、自分を地上に連れ戻そうとする精神のたしかな重みが、この崇高な相転移の試練を邪魔立てするのを私以外の誰かの悪意ある策謀であると強く感じ、意に反し精神の奥底に沈殿してゆくこの不正な堆積物への怒りが私を上へ上へと逃れようと、よりいっそう渇望させていたのだが、フォークナーは、この私にかけがえのない啓示――この重みある沈殿物もまた、私が引き受けて支払わなければならない一種の負債であり、私という存在が、地上へと引きずり落とす陰謀と、上空へ飛翔する思想のあいだで賭けられた賭け金ではないことに気づくためには、この重量の元へと自分自身を還帰させるだけで十分であるという啓示――を、さながら星座を構成する星々のうちで、もっともまばゆい恒星が、明滅するその明るさによって星座の存在をそれとなく指し示すように、きらめかせてくれたのであった。