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口内炎がひどく痛むのでうんざりしてきて今日は研究室を休んだ。それで「悲しき熱帯」を読んでいた。

そういえば年始に赤ん坊を連れた遠い親戚と久方に会ったのであった。まだかろうじて首が座っただけの、はいはいもしない赤ん坊であるから、生後六ヶ月程度なのだろうか。かれと私は「またいとこ」の関係にあるらしいのだが、血のつながりはない。

かれは顔を歪めて泣き出す素振りを見せるや、かれの内部に引きこまれたむずかりの高まりを一瞬で笑いに変貌させる芸当をもっており、表情の変わる頻度と振幅の大きさが私に強い印象を与えた。かれはまるで打ちよせる感情の波に耐えながら、家族の団欒を壊すことを恐れるあまり、社交的な笑いをみずからに課しているように思えた。