思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

人類の歴史においてはじめて、痛みや苦しみが貨幣の役割を果たすときが来ようとしているかのように思われる。ベンサム的な功利主義がいまになってわれわれの社会の裏側から闖入しているかのようだ。こうした動きはおそらく、寄せては返す波のように過去の社会においてその構成員の内面にその兆候を見せては退行を繰り返してきたひとつのモチーフにちがいない。これは、それ自体はっきりとしたイデオロギーの輪郭をともなわないにも関わらず、啓蒙的な社会諸制度へと人を向かわせ、それを形成する題材となりうる、経済に関するある観念である。

 

「ブレイブハート」を観た。低俗的なものをよくここまで高尚なもののように見せたものだと感心するわけである。血と暴力が性愛と同じようにポルノとして人の耳目を引くことは容易にわかるが、「自由」や「人の絆」といった聞こえのいい観念もまたその例外ではないことをよく示してくれる。ポルノ的主題、あるいはポルノそのものがTSUTAYAのアダルトコーナー顔負けにあまりに見事に並列されているので、ひょっとしたら監督はかなりアブノーマルなフェティシズムをもってるか、あるいは性的不能を抱えていたのかもしれない。現代社会に対する優れた批評を提供しているが、歴史を題材に取る意義がまるでないので、いっそ500年後の銀河連邦帝国を舞台にした方がわかりやすかったかもしれない。まったくもって素晴らしいそびえ立つクソだ。