思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

「転落・追放と王国」「ハイデガーの思想」を読み返す。山に持っていく本はどれにしたものだろう。

 

政治や倫理の領域において、ある決定不能の彼岸を指し示すことで否定神学的な態度を正当化してしまうのではなく、より高次に一貫した原理を追求し続ける身振りだけでもやめてはならないだろう。それは語りえない、と私は私の未だ語られぬ倫理に対して静物画を描くときのような精神の歩容とともにそこに通じる道筋を歩んではならない。ウィトゲンシュタインは語らなくともよいとは言わなかった。語りえないと知るのは私の世界のすべてについて語りつくされた爾後だからである。あのオスカルが、「ブリキの太鼓」における倒立した主体であったオスカルが、「私は~しなければならぬ!」という電撃的な義務への目覚めの啓示を母の死から授かったように、私のうちにある語ろうとする意志が死にかける間際の呼び声から、「語らなければならぬ!」という責務を私はたしかに聞き取る。