思ったこと、考えたこと。

日々思ったことや考えたことを日記代わりに綴っていきます。がんばります

他部署からふられた仕事を安請け合いしてしまうことに対して、先輩から「なんでもハイ、ハイと仕事を引き受けていると、抱えすぎてつぶれてしまうよ」と、忠告を受けた。たしかにそのとおりだ。いつの間にか、自分の力量も権限も超えた仕事を任せられて主担当者になっている。まるで磁力によって反発する磁石が触れることなく動くように、この仕事に関わるのを避けようとする関係者たちの動きが見えない力となって、俺が仕事の主担当になるように遠くから操っているようだ。

また大学生が雪山で死んだ。昨年の穂高立山、今年に入って阿弥陀岳、そして今度は木曽駒だ。彼らは経験も体力も兼ね合わせていて、つちかってきた実力のすべてを尽くして死んでいったにちがいないのだが、ただ死んだというだけで、いっさいの自分の言葉を失って、かれらが山を登るときに感じる衝迫もろとも、その存在が見も知らぬ他人の言葉の中に永遠に埋もれることになったのだ。

死ぬことは、舌を切り落とされて口の中に塩袋を詰めこまれた唖の奴隷のように、他人の言葉を口の中に詰めこまれて二度と何も話せなくなるのを甘受することだ。こんな恥辱が他にあるか?

スタヴローギン的な

以下の文章は、メルヴィルバートルビー」を読んで、ある人間(バートルビー)の発話をとりまく状況について書き留めたかつての思索である。

かれの発話が、まさに発話されることで、解釈を呼びこむひとつの位相をみずから選びとってしまうことを、かれ自身は押しとどめることができない。というのも、発話者の内面は、発話の前提とされ、応答の際の手引きとしてひんぱんに参照される役目を負うために、人と人のあいだのコミュニケーションにおいて仮構に設置された、その人間を不可分なく説明するひとつの本質的契機、あるいはそのときどきに応じた、人格の代理物としての地位を占めているからである。

この洞察は、心というものについての不可知主義を通り越して、自分が心で信じていることすら信じない、スタヴローギン的な独我論に行き着こうとする傾斜に満ちみちている。俺は、他者に心というものがあるとして、言葉や態度はそれを写し取ったものであり、会話は心を互いに解き明かしていく過程であるとは言わない。そうではなく、まず、たがいに意味が不明の独語をつぶやく二人の人間がいて、双方が相手の独り言を解釈しようとするとき、その言葉を生み出した心と呼ばれるものがあったにちがいないと、過去を遡って説明づけられると言いたいのだ。このちがいは微妙だが、前者の見方では、心が言葉の厳密な対応物であると積極的にみなそうとするのに対して、後者の見方では、どう好意的に見積もっても、心というものが、発話についての解釈に対応する仮設物としかみなせないという点で決定的に異なる。

だから、これはいかにも独我論的なのだが、だからといって、心が実在するとナイーブに信じこむほど他人に興味をいだいて生きているわけではないのだ。

ヒックとドラゴン」を観た。この映画では身体障害が心情的な駆け引きの道具になってしまっている。敵だったドラゴンがラストで人間に都合のいいペットになっているのも少し気になる。ファンタジーの世界が現実世界のわれわれの感覚と地続きにつながっていて、安易な甘美さを提供する婢女へと堕落しているならば、それは、「ゲド戦記」作者のル=グウィンがもっとも強く否定するものである。

だが、決して悪い映画ではない。トゥースがとてもかわいい。

積雪期蓼科山

 

蓼科山に日帰りで登ってきた。前夜は甲府駅近くの舞鶴城公園で野宿し、新しく買った冬用寝袋を試した。たいへん快適だったのでよかった。

当日は天気が良かったので、寒すぎて凍えることもなく登山を楽しめた。北横岳まで縦走する予定でテント泊装備だったのだが、山頂があまりに寒いので、これ以上寒さを我慢して夜を過ごすのが嫌になり、蓼科山をピストンすることにしたのだった。雪がかなり積もっていて、先行の登山者によって適度に踏みならされていたので、ソリで滑って下ることができた。これがたいへん面白く、ひとりで無我夢中になっていた。

今回学んだことは以下の通り。

スノーシューやワカンは、登山者の多い雪山ではほとんど使う出番がない。登山者が少ないか、あるいは雪が積もりたてでトレースのない雪山では使うかもしれないが、そんなところに行く予定はないし、そんな山に登る実力もない。残念ながら今の俺はトレース頼りの登山しかできない。

・安っぽい手袋では山頂や稜線上の寒さに耐えきれない。ちゃんとしたものを買うべきだ。だが手袋以外の装備について不足はなかった。

スマホだけでなく、デジカメのバッテリーも寒さに弱い。どちらにもカイロを貼付しておくのがよいかもしれない。

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